小説
□B
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3,目を覚ましてほしかったから
―――
太陽の光が眩しい。
鳥のさえずりも聞こえる、そんな爽やかであたたかい風景。
……なのに、
「腰いってぇ……」
最悪な目覚めだった。
♀♂
昨夜は確か……
「シズちゃん」
「あ?」
「これを着てくれないか!!」
「……お前まだ言ってんのか」
俺の予想通り臨也は例のメイド服とセーラー服を持っていた。
……頭おかしいんじゃねぇか…?
いや、確実におかしいんだった。
外見に惑わされて忘れるところだったぜ…。
「2つ共とは言わない!どっちかだけでいいんだ!…ね?一回だけ!!」
「嫌だっつってんだろ」
「そこを何とか!!」
「手前ぇなあ…」
いいかげん面倒になってきた俺は立ち上がり、臨也の前に仁王立ちする。
こうすれば見下せるからな、物理的に。
「お前は俺に女になってほしいのか?」
「……? 違うよ?」
「じゃあなんで俺に女物の服を着せようとする」
俺の言い分を聞いた臨也は肩を竦めて軽く笑った。
こういうテンションになった臨也は大抵うざいから注意だ。
「誤解しないでほしいな。俺は男として、男であるシズちゃんの事が好きなんだよ。そりゃまあ人間は愛してるさ。人間を愛するのは言わば…職業病とでも言っておこうかな。でも、君は違う。俺が恋愛対象として好きになれるのは化物であり、男であり、そのありのままの姿である君だけさ。まぁ、今の君が女になっちゃったーって言うんならまだしも、もし君とよく似た女の子が居たとしてもその子のことは好きにならないだろうね」
…一旦間を開ける。
「…つまり?」
「俺は今の君が好きってこと」
「…だから?」
「君に女になってほしいとか、そういう願望はないよ」
「…それだけ言えばいいじゃねぇか…!!」
なんで意味もなく長々と喋るんだ…!?
余計に分からなくなるだろ!
「じゃあなんで着せたいんだ?」
「恥じらうシズちゃんが見たいから」
「なっ…!?//」
「何より、シズちゃんが俺にご奉仕してくれる…とか、シズちゃんの中学生時代は実はこんな…とか妄想したら萌えるじゃんか!!!」
「とんでもない事言い出しやがった!!!」
いや…分かってはいたんだ…。
臨也は所詮こんな奴だよ。変態だよ。
だが、まさかここまでとは……。
俺の範疇を余裕で越えていた。
キャパオーバー。
「……で。着たらどうするんだ?」
「俺が欲情する」
「お前しか得しねぇな!!!」
「そしてそのままベッドイン」
「むしろ俺は損ばっかじゃねぇか!!」
やべぇ…、夜が更けるにつれてうざやのいざさ…間違えた。
臨也のうざさがヒートアップしてきた。
「……まぁ、冗談として。正直そこまで強要するつもりはないよ」
「…してるだろ」
「ただシズちゃんが嫌がるなら元も子もないからね」
「………」
臨也は憂いを帯びた笑顔をつくる。
急にそういう表情されると、正直困る。
俺だって、臨也は笑顔で居てほしいと思うし、哀しい表情は見たくない。
見たくない…けど。
「それに、こういうの着なくたってシズちゃんのこと好きなのは変わらない訳だし」
「……!!//」
不意打ちの言葉にどうすればいいか分からなくなる。
顔に熱が集まっていくのを感じる。
「そ、そういうの、サラッと言うなよな…!」
「ふふ、かーわい」
臨也はそっぽを向いた俺の顔に手を添えて、熱っぽい目で俺を見た。
…既に欲情してんじゃねえか。
「あの…さ、臨也」
「ん?なぁに?」
臨也が優しく問う。
もう俺の言おうとしてる事が分かっているのかもしれない。
「………ちょっと、ぐらい…なら」
「なんて?」
「チッ、分かってる癖に………だから!少しくらいなら…お前の変態に付き合ってやっても…」
「本当に!!?」
最後まで言い終わる前に返事した辺り、やっぱり言おうとしていたことが分かっていたんだろう。
…サイテーな奴。
「じゃあどっちがいいかな!!セーラー服?いや、メイド服でご奉仕も…あ、そういえば猫耳もあるんだった!どうしよっかなー!!」
「……」
――ハメられた。
「手前、もしかしてさっきのは演技かよ!!?」
「多少演技はしたけど嘘はついてないよ?」
「臨也っ!!」
「まぁまぁ。ほら、着てくれるんでしょ?ねっ?」
「……うぜぇ」
♀♂
まぁ、そんなこんなで、半ば無理矢理(しかも2着共)着せられて、宣言通り厭らしい目つきで見てきて、羞恥の限界で死にそうになって、ベッドに押し倒されて………。
「現在に至っちまった…と」
やべぇ、思い出したら恥ずかしくて死にそうだ。
なんで着てしまったんだろう…。
隣を見ると心地よさそうに眠っている臨也の顔。
………。
「ムカつくから起きやがれ」
「痛ぁぁっ!!!」
昨日の仕返しとしてデコピンしてやった。
「シズちゃん…そこはキスで起こすとこじゃない?これマジで痛いよ…煙でる…どうしてくれんのさ、俺のおでこ…!!」
「ざまぁみろ。」
*あとがき*
西尾維新さんの化物語を読んでから書いたら、つられてギャグっけがうまれたwwww
next punch!!→