小説

□5つの殴る理由@
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1,変態くさかったから


―――





「あ、来た来た。シズちゃーん!」


池袋西口の公園に行くと、真っ黒の塊がこっちに手を振ってきた。

今日も『あいつ』は黒のYシャツに黒のパーカーを重ね着している。
…飽きねぇのかな。って俺も人の事言えねえよな。
俺も片手をポケットに突っ込んだまま軽く手を上げた。

「よぉ」

いつも臨也は、俺の仕事の合間にここにきてくれる。
2人の仕事上会えない事が多いので、正直…嬉しい。
だが、わざわさ俺に会うために仕事を無理して早く終わらせているらしく、正直申し訳なく思っている。
…本人に言ったことはないけど。

そんな俺も、いつも一日中ある仕事が今日は午前だけで終わった。
けど別に…いつもより長く居られる、とかって喜んでいたりはしない。
決して、ない。
…ウン、絶対。

「お腹空いたでしょ。俺の家来る?なんかつくるよ?」
「ん、じゃあ行く」

ニコニコと爽やかな笑顔で言われる。


……コイツ、なんか企んでやがる。

なんだか、そんなにおいがした。





♀♂





「シズちゃーん!ご飯食べる前にさぁ」
「あ?何だよ?」

臨也は家内に着いて早々俺の前に楽しそうに立った。

「ちょっと待っててねぇ〜♪」
「!」

ゾワッ

言葉で表すならそんなかんじの寒気が体を襲った。
やっぱり予感は正しかったか…?
…なんて考えている間に臨也は自室へ入っていったようだ。

「……嫌な予感しかしねぇんだが…」
「そう?まぁシズちゃんのこういう時のカンってハズれないからねー。」
「………」

俺の独り言が聞こえていたようで、そんな風な返事が返ってきた。

「ジャジャーン」
「…………………………………なんだ、コレ……」

臨也が取り出してきたものは2着の洋服。

「どっちがいいー?」
「どっち、って…」

出されたのは、所謂メイド服っつうヤツ。
それと、黒を基調としたセーラー服。

「……どちらも女モンだろうが!!」
「痛っ!!」

あまりにもふざけた事をしてくる臨也を殴ってやった。

「あ?なんだ?文句あんのか?一般的に、このタイミングでこんなもん持ってくるような変態を殴ってもおかしくないと思うけどなァ?」
「待って!ごめん俺が悪かった!ていうかその前にその力強そうな拳を下ろそうか!ねっ!!ごめんなさい本当にそれ以上殴らないでっ!!!」


今日、初殴り。





next punch!! →

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