儚き華 改正版

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信頼していた貴方は、私を信じてはくれなかった。


きっとなによりも心に響いたあの言葉…



“幻滅”



幻滅もなにも最初から



ナニモナカッタ…!?





すべてが嘘だったから?

すべてを隠してたから?

すべてが狂ってたから?











───あ…、虚の、気配……


ここに虚が集まってきた。

俺の揺れた霊圧が原因?

でも、何も、考えられない、考えたくない…!





「クッ…」


あまりの数に驚く日番谷隊長。

彼を視界から外すことができない。


こうなることは、安易に予想できたはずなのに…







〜日番谷side〜



なんなんだ…?

この虚の数は!!


あまりの多さに呆気にとられる。



この虚の気配で来たのかいつの間にかたくさんの人が来ていた。




状態からすると真ん中に俺・雛森・玖龍がいてその周りを囲むように大量の虚たち、またそれを取り囲むようにしてやって来た死神たち。


もちろん玖龍と仲の良かった奴らもいる。

隊長たちも何の騒ぎだと駆けつけている。



周りの奴らが大量の虚を次々に倒していった。


もう虚はいない。

助かった、俺ら3人ではとても――――…




「…消えろ……」



「…玖龍、君…?」


玖龍が俺と雛森のいるほうに歩いて来ながら言う。



「…アンタらさぁ…」


玖龍が眼を閉じて言う。



「…俺の“命令”が聞けないの…?」



この言葉を言い放ち、目を開けた玖龍は、


その眼の色は、



…いつもと違う、深紅。




玖龍の手には一本の緋い短刀。





その真っ赤な短刀を俺らのほうへ向けた。



周りから、誰か止めろ!日番谷隊長たちを殺す気だ!、という声が聞こえる。



しかし誰も止めに入らない。
いや、入れないんだ。



今の玖龍は眼の色が違うせいか、とても恐ろしい。






───────シュッッ








俺の右耳スレスレに、玖龍が投げた緋い短刀が通りすぎる。





ギャァァアアア…!!




後ろで叫び声があがる。



驚いて後ろを振りかえると一体の虚の頭に緋い短刀が刺さっていた。




「…失せろ……」




その虚に近づき短刀を抜くと虚は消えていった。


短刀をしまった玖龍は倒れこむように膝をついた。






〜日番谷side(終)〜





―――――――――――――――






クソ…ッ、ヤバいな…

ったく…情けないな…

つい頭に血が昇って、紅哀麗華を抜いてしまうなんて…


この斬魄刀を使う時は精神面がしっかりしていないと霊圧が逆流して流れ出すことがある。



今は霊圧制御装置で無理矢理抑えてるし尚更…霊圧が…抑えきれないのに…!!




思わず膝をつく。


意識が朦朧とする…





…頭が、割れるように痛い…っ



俺から霊圧が溢れだす。





「ウッ…グハッ…」




そこらにいる隊員たちは苦しそうに呻き声をあげて倒れていった。




残ったのは各隊長・副隊長くらい。




「クッ…これは…?來雅の霊、圧…なの…?」


…乱菊、さん…っ



「…玖龍の…、霊圧、なのか…?」


…日番谷、隊長も…


苦しませて、ごめんなさい。







「…おい!!妃涙!大丈夫か!?」


『…平原、三席…それは…禁句っ、ですよ…?』


「ったく…」





「…潤よ、止めてやってくれ。このままでは現世にも影響が及ぶ。」


『すみません、ね…総、隊長殿…』




「…妃涙ちゃん…」


小さな声で呟く紫苑。


言葉にならない零番隊隊員たち。




「とりあえず……気ィ失って?」


と言うなり、潤は俺の腹を殴る。


どうしてそこで黒い笑みが出てくるのかわからないが、潤は素敵な笑顔だった。




『…ウッ……』





あ、ぁあ


気が遠くな…る……












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