儚き華 改正版

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「失礼します!
…はい!日番谷君。五番隊からの書類だよ!!」


「あ?ワリィな雛森。そこら辺に置いといてくれ。」


「うん!
そういえば…玖龍君…いるかな?
話したい事があるんだ…」


「玖龍か…?いると思うぜ?」


「そっか…ありがとう。じゃあ、またね…日番谷君」


「あぁ…(雛森が玖龍に用事…?)」







…トントン

肩を控えめに突っつかれた。



「…あなたが玖龍君??」


『え?そうですが…』


「…ちょっと話があるの。ついてきてくれる?」


『…はい、わかりました』



雛森副隊長が、俺に、話?
とりあえず、断る理由もないので二つ返事。


雛森副隊長に連れられてきたのは十番隊の倉庫だった。


…以前、俺が富永をフッた場所。




「…ねぇ。…どうして優里奈ちゃんにあんな酷いことするの?」



なるほど、その話か。
あの人と雛森副隊長が知り合いだったなんて知らなかったな。



『はい?…なんの話でしょうか?』



とりあえず、シラを切ってみるが、逆効果だったようだ。
雛森副隊長は鬼の形相で叫んできた。



「とっ、惚けないでよ!!
優里奈ちゃんはねぇ!
つらいはずなのに、いつも笑って仕事に来てるんだよ!?

昨日なんか“來雅君は悪くないんです!!悪いのは私なんです!”って言って泣き出しちゃったし…

…優里奈ちゃんに…謝ってよ!!」




パチンッッ!!!!


平打ちで頬を叩かれる。




『…』



「ねぇ…なんで黙ってるのよ?
どうして…?
貴方が謝れば、今まで通りとはいかなくても、みんな仲良くやっていけるのよ!
…なのに!!」



大粒の涙を流しながら訴え口調で話かけてくる。



「…日番谷君も……。どうして玖龍君の味方するの?乱菊さんもそう…。

みんな、おかしいよ…


‥…なんで簡単に許してしまうの…?
だから隊長にするには若すぎるって言われてちゃうのよ…っ!」






パチンッッ!!!!


『…俺への侮辱はいくらでもしていい。
だが隊長や乱菊さんへの侮辱は、いくら貴女でも、許さない。』



思わず叩いてしまった。

それがいけなかった。













〜日番谷side〜



さっき雛森がきて玖龍は、いるか?と聞いてきた。



軽はずみで、いると応えてしまったが雛森は確か富永と親しかったような…

いてもたってもいられなくなった俺は玖龍の霊圧を探した。








────…十番隊倉庫か?






間違いなく雛森の霊圧もある。


雛森は感情的になりすぎると普通に始解してしまう。

そうなったら玖龍が危ない!!




瞬歩を使い倉庫へ急ぐ。



中に入ると、霊圧の乱れもなく、予想したことにはなってない、と安心していると…






パチンッッ!!!!



人を叩く音がした。


まさか…雛森が玖龍を!?



「……さん………い……でも……許さない。」




いつもより低い玖龍の声が聞き取りずらい。




叩いたのは雛森ではなく玖龍───!?





なぜ?なぜだ?
どうして、玖龍が雛森を叩いてる?

なぜ玖龍が雛森を見下しながら睨んでる?

なぜ雛森は涙を流してる?






俺は身体中が熱くなった。

信じていたものが崩れていく感じがした。




〜日番谷side(終)〜




――――――――――――――――




〜雛森side〜



そうだ。

玖龍君に言われて気がついた。


あたし、なに言ってるんだろ…



優里奈ちゃんのことを話たかったんじゃないの?


なのに、どうして…


…どうしてあたし……



日番谷君の悪口言ってるの…?




『っ、玖龍君…?』



玖龍君は横を向きながら固まっている。




「…日番谷…隊、長…」




え?


っ、日番谷君…?


なんでここに…?



「…玖龍っ…てめぇ…!」


「…」




え?待って、日番谷君…!?


悪いのは…私…





「…玖龍……お前には幻滅した。」






〜雛森side(終)〜




―――――――――――――――――




日番谷隊長…


まさか貴方に裏切られるとは…思ってもみなかった…

いや、貴方からすれば俺が裏切ったのでしょうけど…



「…玖龍……お前には幻滅した。」


『………』



日番谷隊長は俺を通りすぎ雛森副隊長のところへ行く。



「…大丈夫か?雛森…」


「え?…うん…」


「…玖龍…。
今まで自分の目で見てなかったから信じていたが…」


『…日番谷、隊長…?』


「…信頼してたのに……
まさか雛森にも暴力を振るうなんて…!
なんか恨みでもあんのかよ…っ!」





雛森“にも”…?



日番谷隊長は…


────もう、俺のこと…




信じてくれてない…?










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