儚き華 改正版

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謹慎か…

謹慎って…休みだよね?
暇だわ〜…


いや一応琥嶺家当主だし、そりゃ書類もはんぱなく回ってくるけどさ?


この家にいるうちは、玖龍來雅じゃなくて琥嶺妃涙なわけで?



ヘタに出歩けないし?

とにかく暇なんだよね…





昔はさ、蓮や柊・美桜もいたし、私の妹もいたわけさ!


…だけどねぇ…

今じゃ誰一人いないし‥


自分の家なのに、なんか寂しいな。




と、感傷に浸っている時、戸の奥から声がした。


「妃涙様、書類で御座います。」


『あー、入って。』


「失礼致します。」



入ってきたのは琥嶺家の使用人の杏娜(アンナ)。


使用人の中では一番仲がいい。


表では敬語だけど、二人とかの時は気軽にタメ語で話してくれる。






『また書類か…』


「頑張って妃涙!」


『明らか他人事だと思って…』


「だって他人事だもん。」


『畜生!
…あ、そうだ。さっき暇だったからケーキ作ったんだ。一緒に食べよ。』


「え!?本当?食べたい!!」


『はい、どうぞ召し上がれ。』


「ありがと〜妃涙!
ほんと、お菓子作りの天才だわー」


『うーん…嬉しいような…?』









…そんなこんなで一週間が過ぎ、仕事に復帰する日になりました。




『おはよう御座います。』





…シーン……


はい、毎回お馴染みの無視攻撃ですね〜

なんで来たの?って視線が痛いんですが、仕事ですからね!


ってか机がスゴイんですけど…




“死ね”“消えろ”の文字が刻まれている。




…公共のものは大切にしようよ、ね?

造ってる人が可哀想だから。
それに俺がいなくなったら、誰かがこの机使うんだから…

こんなガキみたいなことしやがって…





「優里奈ちゃんが可哀想だ」

「知ってる?また優里奈ちゃんに暴力したんだって」

「うわ、最低ー」

「消えろよ」

「ありえないから。マジ、死ねばいいのに」




等々…



アンタらも飽きないねー…
まぁ、仕方ないか。


なんか書類を置いてくヤツもいるし…




ん?


“玖龍 來雅  様”





妙にキレイな封筒、発見。

っていうか、“俺”宛に様付け…?




中を開くと…また封筒!?


おいおい、なんだこれ。
どこぞの国の人形みたいに開けても開けてもまた人形…なんてことにならないよな?



二つ目の封筒には

“玖龍 來雅”ではなく…


“琥嶺 妃涙  様”



と、書かれていた。



おいおい…琥嶺妃涙宛の手紙は家に出そうぜ?
迂闊すぎんだろ…

誰かが面白がって見たらどうすんだよ…


手紙の阿呆送り主は……山本…


総隊長?


ついにボケたか…?





まぁ、内容を簡単に説明すると…



富永家で虚の実験が行われていて、その虚を何度が現世に送っているらしいから調べてほしい、と。



ほう…富永家が…すでに動き出していたか…





「どうした、玖龍?」


『え?あ、日番谷隊長っ』


「お前がそんなに驚くなんて珍しいな。」


『そうですか?ははは』


あぶねー…
俺としたことが隊長がいたことに気付かないなんて…

やっぱり、いつもより霊圧制御装置が多いからか?




「大事な書類か?」


と、俺の持っていた手紙をスッと取る。



『あっ!ちょ…っそれは!書類ではなくて…』


「あぁ、すまねぇ、手紙か。」



と言って手紙を渡す。







〜日番谷side〜


手紙だとわかってすぐさま玖龍に返す。



すると玖龍は安心したようにため息をついた。


でも、見てしまった。

その手紙に“富永”の文字があることを。



ふと今世間を騒がせている噂を思い出した。

富永優里奈が絡んでるってことか…?


なにか関係があるのか?

…わかんねぇ。




聞いたところで玖龍は教えてくれるだろうか…



答えはきっと否。


聞かないほうがきっといいと思う。
他人の事情に首を突っ込むべきではないしな。




〜日番谷side(終)〜







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