I For you
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『もー!なんなのよあのしわくちゃジルコニアおばば!』
『今週に入ってからもう3回も怒られてるんだものね、タイガース・アイ』
『ほーんと。お気の毒ですこと』
『ちょっと、フィッシュ、ホークス・アイ。あんたたち全然いたわってる風に見えないんだけど』
『『僕達がいつ、いたわったって?』』
『あ、あ、あんたたちねー!』
いつものバーで、いつものばか騒ぎ
例により、ジルコニアからのお叱りを受けたタイガース・アイは、不機嫌そうに眉をよせて酒をあおった
それをからかいながら、クスクスと笑うフィッシュは、カウンターに無造作にばらまかれた写真を摘み上げた
『どの子もいまいちねぇ』
『美しい夢をもっている人間がほんの一握りといえども、こんなに居たんじゃ探しようがないですよねぇ』
タイガース・アイは、しばらくは仕事をする気は無いらしく、二人の会話に入ってこない
しかたがないから僕がいきますかねぇ、と品定めをしているホークス・アイの目に、一枚の写真が止まった
『なーに、お気に入りでもみつけたの?』
『…この子、かわいくありませんか?』
『どれどれー………………………………ホークス・アイ、どうしたの?熱でもでたの?』
意味ありげに言うフィッシュ・アイに、タイガース・アイも興味を示したのか写真を覗き込む
そこには、
白い肌にふんわりとした笑みを浮かべた、まだ少し幼さの残る顔立ちの少女が映っていた
タイガース・アイとフィッシュ・アイはお互いの顔を見合わせると、心配そうにホークス・アイをみつめた
『…どうしたのよ本当に、アンタ年上趣味だったわよね』
『それこそ年下にはミジンコほどの興味もなかったはずじゃ』
『うるさいですねー、いいじゃないですか。たまには間食もしたいんですよ』
じゃあ、行ってきますね
そう言ってバーを後にするホークス・アイ
タイガース・アイとフィッシュ・アイは、もう一度その写真をじっくりと見る
『(…僕のガチ好みじゃないの。先を越されたわね)』
『(ふん、女なんかの何がいいのさ)』
つづく