シャロウスカーズ

□飛べない鳥
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歩く
街を歩く

不自然でない、暗い金髪に、あどけなさの残る長身の少年が、まっすぐに前を見据えて歩いた 

まだ昼間の街中には、若者や、仕事の最中のサラリーマンが、せかせかと歩いている

その中で、人の流れに流されることなく、いや、流れに逆らうように、もはや周りなど見えていないといわんばかりの様子だった

「きゃっ」

自分の胸に、ぽすりと顔をうずめた見知らぬ少女

「ご、ごめんなさい」

ペコリと頭をさげる少女に、返事をしようとした喉元から、なにかがせりあがってきて、口をつぐんだ

「…ッ」
「あ、あの…大丈夫、ですか?」
「……」


ぞくり


背筋に、冷たい何かが走る
ああ、憎い
何も知らずに生きているこいつ、せわしなく働き続けるサラリーマン、チープな愛を語る滑稽な恋人たち

殺してやりたい
何故、こんなどうでもいい人間が生きていて、
何故、あいつが生きていないんだ
憎しみにかられ、ポケットに眠る無機質なそれを握り締めた


「まってよー!」

はっとして、後ろを振り向くと、先ほどの少女は、すでに自分のそばにはいなくて、安堵とも、苛立ちともつかぬため息をこぼした

「朔絽…」

ああそうさ、この憎しみにかられて俺におまえを想う資格なんてない

それでも…

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