12/13の日記

01:50
あの人は。
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(十年後。綱吉死ネタ)


ーーあぁ、神様はなんて残酷なのでしょうか…





どんよりとした曇り空。
まだ晴れていたならば、この思いは晴れたのだろうか…

ガラーン... ガラーン...
教会の鐘が盛大な音を鳴らし響き渡った。



ーーー本日、ボンゴレ十代目ボス「沢田綱吉」がミルフィオーレとの会談から帰ってきた。……帰らぬ人として。

綱吉の親友である山本は彼の遺体を見るなり驚愕した。
なんで、彼が殺されなければならないのか。それを問うても答えてくれる人はいないと知りながら…

その遺体の前に彼の右腕である獄寺がひざまずき、泣きそうに顔を歪めながら、それでも涙を流そうとはせず


「お帰りなさい。十代目…」


まるで愛おしいものを見るかのように泣き笑いにも似た表情をしている獄寺。
山本はその震える背中を見ているしかできなかった。





棺の中の彼の顔はとても穏やかで、まるで眠っているかのようだった。
しかし、冷たくなった体が彼がこの世の住人でないことを示す。


あぁ…
何故こんな事に…


あの朝、獄寺も山本も彼に会っていて、笑って「行ってきます」と言った彼を笑顔で送り出した。
後悔の念がグルグルと腹で燻っては消える。


悔やんでも、後悔しても、もう遅い。
事は起きてしまったのだ。



「ーー山本、幹部に伝達。緊急会議を行う」



凛とした声に弾かれたように顔を上げれば、泣いてないと思っていた獄寺の顔が涙に濡れていた。
獄寺の緑柱石の瞳から次々に涙が溢れては頬を伝う。

しかし、顔は悲観にくれるではなく、しっかりと前を向いていた。



「了解。すぐに収集をかける」


そんな獄寺の様子に、山本はうなづく事しかできなかった。







ーーあぁ、神様はなんて残酷なのだろうか…。
彼に前を見る事しか赦さないなんて…





せめて、泣いて縋ってくれればいいのに…



そんな事を思いながら、山本は教会を後にした。









(あの人は、彼の全てでした。)

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