10/03の日記
07:04
タイトルなし
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ーーーゴクリと咽をならした。
今日は何もない、いつも通りの一日だった。
言うなれば、おかしな事といえば今日は異様に咽が渇くということだろうか。
その理由は分かっていた。
しかし、それを認めるにはまだ人としていたいという理性があったからだ。
夜になればますます咽が渇いてしかたなくて、水道の水を何度も飲んだ。けれど、咽の渇きは一向に癒えてはくれなかった。
咽が渇いて渇いて…
まるで、砂漠にでもいるようだった。
渇いた咽を潤すため生唾をなんども飲み込んだが、全然意味を成さなかった。
やがて理性を蝕んでいくのは自分の本能で、もう抗うことにでもはできなかった…。
心臓が脈を打ち、血が全身に巡る。
ドクン、ドクン、ドクン。
自分の心臓音が鮮明に聞こえる。
ゆっくりと歩みを進める先は寝室。
ベッドで眠るのは愛しい人…。
ギシリ…とベッドが軋む。
眠る彼の上に跨がり、片手で体重を支えもう片手で髪を払う。
あらわになった白く細い首に唇を落とし、そっと嘗めあげる。
その瞬間、ピクリッと反応した彼は重たい瞼を開け、自分の名を呼んだ。
しかし、それに答える事はできなかった。
その瞳を隠すように手の平で覆い、抱きしめるように首筋に牙を突き立てた。
大好きで大好きで、自分が何者かと言うことすら忘れていた。
腕の中にいる彼は今も眠っているように安らかな顔をしている。
彼が眠る前に言った言葉は自分の中でリピート再生される。
それは自分の名前と、「愛してる」その言葉とおだかやに笑う姿だった…。
(愛してる。
愛してた。)
(だからこそ、溢れる涙は止まらなかった。)
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吸血鬼をイメージして生まれた小説
山獄として読んでもいいかなと思って載せました。
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