03/13の日記

16:38
痛みのワケA
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「なんだろうな…」

静かにそう言ってきた山本が首に顔を埋め、舌で首筋を辿る。ビクリッと獄寺の体が跳ね喉を反らす。
山本が何をしようとしているのか。そんなのも分からないほど、獄寺は馬鹿じゃない。

「離せ!!山本…っ、」
上から抑えられた手首に力を籠める。しかし、体制が体制な為、山本はびくともしない。その間にも山本は獄寺の首筋を辿り鎖骨へと唇を落とした。

「やめろって…っ!!」
山本が獄寺の左手を解放し、空いた右手で獄寺のボタンを外し始め獄寺はその手を制しようと躍起になった。

「山本!」

なにも言わない山本が怖い…。

「山本」と何度呼びかけても山本は返事をしなければ見向きもしない。

「…っう…くっ」
獄寺からしゃくり上げるような声があがった。その事で山本は慌てて顔を上げた。鳶色の瞳が見開らかれ表情が固まる。

「…っごくでら」
名前を呼ばれ涙でぼやける視界に山本を捉える。その顔は歪んでいて何か言おうと口を動かしている。

ゆっくりと山本の手が腕から離れる。手首に鈍痛が走りチラリと見れば少しだけ赤くなっていた。

「ごめん獄寺。ごめん…」
顔を歪ませて「ごめん」と繰り返す。手を伸ばして獄寺の頬を撫で目尻に溜まった涙を拭う。

「好き、なんだ…」
鳶色の瞳を潤ませ困ったように笑う。

「お願いだから 避けないて…」
そう言って山本は肩に顔を埋めてきたシャツの上からジワリと涙がしみこむ。
ーーあぁ、本当にお前は俺の事が好きなんだ。
そう、納得できた。

「ーー泣くなよ。
お前も好きだよ。お前が…」
そう呟けば山本は弾かれたように顔を上げた。
今にも零れ落ちんばかりに溜まった涙を拭ってやれば山本は目を見開き驚いていたが、やがて「ありがとう」と笑った。


†end†

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