01/16の日記

10:20
木枯らしの吹く冬の日
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外の冷気に触れた手はジンジンと痛くなってきた。吐き出す、白くなった息。どんなに手に吹きかけて手をさすっても暖かくなりはしない。仕方ないのでズボンに手を入れ少しでも寒さを紛らわすことにした。

獄寺はブルッと小さく身震いする。
冬は嫌いだ。寒いから。けれど…

ちらりと校庭でトンボをかけている男子生徒を見る。そこにいる鴉羽色の髪をした男は獄寺の恋人だ。
野球部のエースである山本武である。

そう、獄寺はこの寒い中山本と一緒に下校するため寒い中待っているのだ。
中で待っていればいいのだが、外(ここ)で待ってるといった手前中に入るわけにはいかなくなった。


「わり!待たせたな」
「おっせぇよ、バァカ!」


いつの間にか着替えていたのか。先ほど校庭にいたはずの山本は制服に着替え獄寺の元に走ってきていた。
そして冷たい手をさすっているのに気がついたのか、山本は獄寺の手を取る。


「うっわ。つめてー」


そう言った山本の手は暖かくて心地いい。獄寺は咽まででかかった悪態をつくのを止めた。


「早く帰ろ?」


手を握り笑顔で返してくれる山本を見て、心までが温まるのを感じた。

たまには、一緒に帰るのも良いかもしれないと思った木枯らしの吹く冬の日。


†end†

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