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□赤に抱かれて
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赤い真っ赤な血は温もりにも似た熱を帯びるもの…
その血に抱かれるときは人の最期だ…
 
【赤に抱かれて】
 
獄寺は目の前で起きたことを冷静に判断してみる。頭の中は真っ白なのに考えるだけの思考が残っている。余裕があるのか、それとも冷徹なのか…

自分がもっとも尊敬するボンゴレ十代目ボス。沢田綱吉は、先程まで自分と話していたはずだった

耳に届いたのは鋭い銃声。その後目の前に広がったのは赤ー…
それは獄寺の顔に服に…地面に飛び散った。なま暖かい感触
綱吉の肢体がゆっくりと地面に吸い込まれたと同時に獄寺もひざを突いた
周りが騒ぎだしたが、雑音なんて一切耳には入ってこなかった
赤に抱かれた綱吉の頬に触れた。体温はまだ暖かいのに…。触れた体は動くことはなく、目は堅く閉ざされていた

獄寺はその場から動くことができず、瞬きすら出来なかった。涙すら出てこない…


「……」
「…獄寺」


放心状態の獄寺の前を大きな手が覆った。獄寺は小さく相手の名を呼んだ「山本…」と…
山本は小さく微笑み返事を返した。まるでここにいるよ。と言っているように…
瞬間獄寺の肩が小さく震えた


「…っ」


山本の手にはなま暖かい感触が伝わる。涙の感触…

声を殺して泣く獄寺の姿はあまりにも痛々しく、涙が出そうになった…
獄寺の涙が綱吉の血を洗い流すように溢れでる
 
涙のように全て流れてしまえばいいのに…

 
泣いても悔やんでも時は戻ることを知らない。ただ今の獄寺達に出来ることは涙を流すことだけ…

自分を必要としてくれた彼を守りたかった。一緒に守っていきたかった…

 
 
ーー俺達は何よりも大切な物をなくしたんだ…

 
思い出せるのは彼の寂しそうな笑顔と彼の血の暖かさだった…

 
†end†
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