番外編等等…

□梨乃の物語
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梨乃の物語 〜あたしの異変はアンタから〜


「なぁー…」
「……うっさいわね!」

なんなのよ、この男。




あたしは
物心ついたときから 一人だった。

何処へ行っても邪魔者扱いしか受けない。

所謂“ストリートチルドレン”というやつだ。

広いイタリアには
周りにも、似たような子が沢山いた。

虐待や暴力、嫌な記憶を持つ子が多くをしめていて、
まだ、何もないあたしのほうがマシだと思っていた。


でもあたしには
“名前”も何もない。

人と呼ばれる証が。

だから、だから…


「チッ…つれねーの。」
「あたしは知らないヤツにホイホイついてくよーな
脳ナシのガキじゃないの。

ケンカ売ってんなら買うけど?」

見晴らしのいいビルの屋上。

体力だけは持っていたあたしは上り、
空を眺めながら、飛び降りてもいいかな なんて考えていた。

「…そこで何してんの?」
「アンタに関係ないでしょ。」

フェンスに上って

口ずさむように、口から出てくるメロディーに
正直自分が一番驚いていて。

「死ぬなよ。」
「…は?」

屋上へやってきた金色。
彼は 誰?



***
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