小説2
□朔月転生 最終話
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「何言い出すの、いきなり」
「少しでもカガリに俺の気持ちが伝わるようにしてきたけど、これ以上どうしたらいいか分からない…」
カガリの笑顔の取り戻し方が、わからない。
どうしたら俺を信じてもらえるのか…心が触れ合えるのか…
「…そんなだから、君はカガリの気持ちも分からないんだよ」
「え…っ、お前は分かるのか!?」
「分かるよ、双子だもん。ていうか今の話を聞いて…自分がカガリになったつもりで考えてみたら分かったんだ」
「今…!?」
キラの言葉を聞いて愕然とした。
俺が1ヶ月考えて分からなかったことを……。
「カガリは君が嫌いなんじゃなくて、自分が嫌いなんだよ」
「えっ…!?」
キラの言葉は俺が思ってもいなかったことで、意味がよく分からなかった。
自分が嫌い…?
なんでそんなこと――――
「とにかく最低なことになるまでに、なんとかしなよね」
「…?」
「言葉より先に手が出るってこと!」
「っ!!」
「じゃあね〜」
キラは俺の反応を楽しそうに眺めて去っていった。
「あいつ…工学部のくせに、心理学者にでもなるつもりか…;」
キラの忠告は正鵠を得ていたのだ。
この1ヶ月カガリの近くにいて…何度抱きしめそうになったか分からない。
カガリの身体を支えたりするたびに心臓がうるさく鳴っていた。
カガリが眠っていた1年間は、一度もそんなよこしまな気持ちで見たことなんてなかったのに…
今はもう、求める気持ちを抑えることすら限界にきていた。