小説2

□朔月転生 最終話
3ページ/12ページ



「何言い出すの、いきなり」

「少しでもカガリに俺の気持ちが伝わるようにしてきたけど、これ以上どうしたらいいか分からない…」


カガリの笑顔の取り戻し方が、わからない。
どうしたら俺を信じてもらえるのか…心が触れ合えるのか…


「…そんなだから、君はカガリの気持ちも分からないんだよ」

「え…っ、お前は分かるのか!?」

「分かるよ、双子だもん。ていうか今の話を聞いて…自分がカガリになったつもりで考えてみたら分かったんだ」

「今…!?」

キラの言葉を聞いて愕然とした。
俺が1ヶ月考えて分からなかったことを……。


「カガリは君が嫌いなんじゃなくて、自分が嫌いなんだよ」

「えっ…!?」

キラの言葉は俺が思ってもいなかったことで、意味がよく分からなかった。
自分が嫌い…?
なんでそんなこと――――



「とにかく最低なことになるまでに、なんとかしなよね」

「…?」

「言葉より先に手が出るってこと!」

「っ!!」

「じゃあね〜」

キラは俺の反応を楽しそうに眺めて去っていった。



「あいつ…工学部のくせに、心理学者にでもなるつもりか…;」


キラの忠告は正鵠を得ていたのだ。

この1ヶ月カガリの近くにいて…何度抱きしめそうになったか分からない。
カガリの身体を支えたりするたびに心臓がうるさく鳴っていた。


カガリが眠っていた1年間は、一度もそんなよこしまな気持ちで見たことなんてなかったのに…

今はもう、求める気持ちを抑えることすら限界にきていた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ