小説2
□朔月転生 第5話
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その場に残されたのは、縛られたハンカチと冷たい言葉。
「そいつはもう戻って来ないんだ」
私がアスランにプレゼントしたハンカチは、あっというまに涙に濡れた―――
「お帰りカガリ。心配したんだよ…!」
「キラ…」
下腹部の痛みを引きずりながら家に帰ると、キラが玄関で待ち構えていた。
「…カガリの友達に聞いたんだけど、今日アスランが大学に来たんだって…?」
「…!!」
いきなりアスランの名前を出されて私の身体は凍りついた。
今さっきあんな事があったばかりだ。
「ごめん…僕昨日アスランに言っちゃったんだ。カガリとアスランが恋人だってこと…」
「っキラ…!」
「ごめん…!カガリを悲しませるようなことするのが見てられなくて…!!」
「………」
…キラは悪くない。キラは私のことを想ってしてくれただけで…
私が悪いんだ。
ちゃんとキラに話さなきゃいけなかった…
「…キラ、聞いて」
「え…」
「本当は…アスランが記憶を失う前に、私たちはダメになってるんだ…」
「え、え…!?」
「年明けくらいからアスランの様子がおかしかっただろ?他に好きな子が…いたみたいなんだ」
「……嘘…でしょ…?」
「黙っててごめん…」
…こんなことキラに言いたくなかった。
私が出会う前からキラとアスランは親友で…
2人の笑い合ってる姿が大好きだったから―――