小説2

□哀唄 Short Story
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【哀唄 Cagalli Side】



 永遠にあいつを忘れられなくてもいい。

 けど、5年後でも10年後でも、いつか自分の気持ちにケリがついたら…




 俺のこと、好きになってくれないか?




―――もうとっくに軽蔑されたと思っていた先輩に言われた言葉だった。


びっくりした。
アスランが私を…なんて考えたこともなかった。


でも、私のこと誇りに思うって……
私の想いを誇りに思うって、言ってくれた。
私を認めてくれた。

その言葉で肩が軽くなって、思わず涙が零れ落ちた。


ずっと誰かにそう言ってほしかったんだ…。






「キラ…久しぶり」

「カガリ…!!」

私も、いい加減この想いに決着をつけないといけないんだ。
泣いてばかりいて、ずっと分かっていたのに分からないフリをしていた。


「避けててごめん…。いろいろ考えて…分かったんだ」



「キラは優しくて、お人よしで、私のことを大事に思ってくれて…幸せなことだなって」



「そんなお前が兄でよかった」



今まであんなに悩んでいたのが嘘のように、穏やかな気持ちだった。

世界中に一人でも、私を認めてくれている人がいる
それがこんなにも心強いなんて。



アスラン…


アスランと話がしたいな…

電話とかじゃなくて、もっと、同じフィールドに立って
お前の隣で…




―――開いた大学案内は、私の心を強く引き付けた。
行きたい。
ここに行きたい!


「っ!? なんだこの偏差値!!」

思わず声が出るほどだったけど、不思議と諦めようとは思わなかった。

毎日毎日机に向かって、模試でなんとかいい結果を出して…
遠い街だから親を説得するのにも苦労した。



そして春、見事合格。

アスランに会ったら、なんて言おう。
どんな顔するだろう。
やっぱり「ありがとう」って言いたいな。

なんて最初は考えてたけど、受験戦争中に私の心は決まった。



―――あいつに会ったら、絶対一番に文句言ってやる!







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