小説2
□朔月転生 第1話
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友人と言われても…俺はこの男を知らない。
どういう友人なのか、いつもどんなことを話してたのか、どんな人物なのか……
何て言っていいか分からない。
もう一人の金髪の女は、涙目で男の腕にしがみついていた。
恋人同士なのだろうか。
「僕のことも…カガリのことも……!? ねぇ嘘でしょ!?」
俺はなんだか居心地が悪かった。
“初対面”の人間にいきなり問い詰められ、泣かれ…
まるで責められているような気分だった。
「…悪いが何も覚えてない」
「……!」
「少し頭が痛いから…一人にしてくれないか」
「…あっごめん、そうだよね…」
茶髪の男はそう申し訳なさそうに言うと、女の肩を抱いて病室を出て行った。
女の方は泣いてばかりで結局何も話さなかった。