小説2
□朔月転生 第1話
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アスラン・ザラ、それが俺の名前らしい。
20歳で大学生。
1週間前、歩道橋下で倒れていたところを救急車で運ばれたと、担当医が病室に来て言った。
「階段から落ちたのかい?……って聞いても覚えてないか」
「はぁ…」
「一時的な記憶障害だったら、何かの拍子に記憶が戻ることもあるけどねぇ」
「ずっと戻らない可能性もあるということですか…?」
「もちろんそういう例もある。何とも言えないが…とにかく友人と話してみてはどうかね」
「友人…」
「あの2人、毎日つきっきりだったんだよ。何か思い出すきっかけになるかもしれない」
担当医と入れ替わりで、再びあの2人が入ってきた。
「アスラン…!本当に記憶がないの…!?」
男の方に問われて、俺は何も答えられなかった。