小説2
□〜エピローグAthrun side〜
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オーブで共に過ごした時間を思い出す。
人生をかけて愛した女性。
世界で一番綺麗な・・・
どんなに気持ちを押さえようとも、胸が高鳴ってしまう。
今でも俺はこんなにもカガリのことが・・
『同じく23歳となられるアスハさんも山ほど縁談が来ていらっしゃるのでは?』
『ええっ』
『あら、指輪をつけてらっしゃいますね。もう決まった御方でも?』
『あっ、あの、私のことはいいので、ラクスのことを…っ////』
カガリの左手が大画面に映り、指輪のデザインが分かるくらいにまでカメラが寄った。
そしてカガリが大慌てで可愛い反応をする。
「……」
そのテレビ画面を見ていたラクスが、すーっとアスランのほうに視線を移した。
―――そしてその顔を見て、驚いた。
彼が、今まで誰も見たこともないような顔をしていたのだ。
12年間家族として暮らしたラクスでさえ、ただの一度も。
「・・・・っ・・!!////」
絶句して、耳まですべて赤面しているアスランだった。
手で口元を覆いながら、真っ赤な顔で画面の中の指輪を凝視している。
幸せの爆弾をふいうちで食らったような。
この顔は数秒くらいで立て直せないほどだった。
「…あらあら」
まさかアスランがここまで感情を出すなんて。
これでは指輪の送り主が誰かなどバレバレである。
「これは、良い顔をいただきました」
ラクスは、さらに笑みを深めた。