小説2

□氷姫は残照に熔く
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翌日、PM5:00。

プラントの王都とはすこし離れた領事館にて、二国間の会食が開かれる。
王宮で行われないのは、まだこの婚約は内密であるからだ。

定刻通り・・
その場にオーブの大公と公女が現れたとき、アスランは生まれて初めて「時間が止まる」という経験をした。
呼吸もまばたきも忘れてただ棒立ちになる。
周りの背景が無くなる。
しばらくは何が起こったか分からないくらい、未知の経験だった。

アスランは、初めて見る婚約者の姿に目を奪われていたのだ。

めったにないまばゆい黄金の髪。
細い首が映える白い肌。
無表情で何も瞳に映していないその顔立ちは彫刻のようで。
ゾクリとするほどの美しさだった。



「……ラン、アスラン!なにをしておる」

「!」

父王に肩を叩かれるまで、アスランは思考を失っていた。

「挨拶をしろ」

「…あ、アスランと申します」

アスランは焦って、身分も姓も言い忘れるくらいだった。
およそ王族らしくもない挨拶。

それに対し彼女・・カガリ・ユラ・アスハは、瞳を伏せたまま大陸流の礼をしただけで何も言葉を発しなかった。





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