小説2

□偽りの系譜は
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この出会いが

やがて世界を変えていく






「カガリ嬢、そなたに会わせたい者がいるのだ」

「……?」

「入ってきなさい、アスラン君」




クライン邸の大広間の扉が開いて現れたのは、黒いスーツを着た男性が一人。

少し長めの藍色の髪の奥には…

顔の上半分を覆った仮面を付けていた。






【偽りの系譜は】





―――およそ1年前。
地球の中立国オーブから宇宙へ飛び立った少女がいた。

カガリ・ユラ・アスハ17歳。
国家元首の娘という立場であることを除いては、普通の少女と何ら変わりはない。

この先に向かう、広大な宇宙国家プラントへの希望を胸に抱いて、大きな琥珀の瞳を輝かせていた。


やっと、やっと、長年の夢が叶った。
プラントへの留学―――!!



「私を受け入れて下さってありがとうございます。シーゲル・クライン議長閣下」

「そのように畏まらなくてもよい。ご自身の生家だと思ってゆるりと休まれよ」


大豪邸でカガリを迎え入れたのは、プラント現最高評議会議長、シーゲル・クラインの笑顔だった。
カガリの父のコネクションもあり、留学中のホームステイ先は現議長閣下の自宅という最高の環境を与えられたのだ。

クライン議長にはカガリと同じ歳の一人娘もいた。


「我が娘ラクスも喜んでおる。よき友となってくれるとありがたい」


「ようこそいらっしゃいました、カガリさん!」

「ラクス!」

二人の少女は笑顔で抱擁を交わした。
今まで何度か通信で交流はしていたが、実際に会うのはこれが初めてだった。

腰まである長い髪に、淑女たる佇まいのラクス。
短めの髪に、活発で自然体に接するカガリ。
正反対の女性二人が、なぜか妙に馬が合った。






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