小説2
□朧月 〜2日後〜
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ビクビクと震えたのはカガリの下半身か俺の下半身か。
自身のベルトに手をかけ、性急に外そうとしたそのとき―――
ピンポーン。
「……」
一瞬、互いの動きが止まって視線が交わる。
インターホンの音が家中に響いたが、俺は構わずベルトを外してファスナーを下ろした。
もうこんなになっているのに止められるわけがない。
ピンポーン。
「アスラーン!いるんでしょ?居留守なんて使っちゃだめだよー!!」
二度目の音とともに、よく知った声が窓下から聞こえてきた。
「……!キラ!?」
「え…?」
まさかの来訪者の声に、さすがに俺の手も止まってしまった。
どうしてキラが…。
うちの場所を知っているはずがない。
絶対に家には連れてこないと、それだけは徹底していたのに。
その疑問も、次の瞬間すぐに解けることになった。
「でも、こちらにいらっしゃるとは限りませんわよ。お隣の…彼女さんのお宅かもしれませんし」
ラクス…!ラクスの声!
キラと一緒に来たのか…!
「いや、絶対こっちにいるよ。アスランちの方に。だって今までずっと、連れ込みたくても連れ込めなかったわけじゃない?それがやっと念願叶ったんだからさ〜」
「念願って。ふふふ」
「彼女さんちの方には、なんだかんだで前から何度も訪れてたみたいだしねー。(ラクスの誤解がとけたときカガリから聞いた)」
近所の目も憚らず大声で言いたい放題。
俺とカガリは隣家同士で付き合っているのだから、これ以上あることないこと言われるわけには…。
―――俺は瞬時に今後の悪夢を想像し、白旗をあげた。