小説2

□空も風も
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あの半年間は


俺の人生の中で


何年たっても色褪せることがない







【空も風も】







高校3年生、9月―――

今日も、午後から彼女の姿は見当たらなかった。





「アスラン、今日みんなで何か食って帰るけど、お前どうする?」

「…あ、ごめん。俺は先に帰るよ」

「わかった、じゃあまた明日なー」


俺がクラスメイトからの誘いを断ったのは、なにも受験生だからではなかった。
幼いときから機械のように勉強しているから今さら焦る必要なんてない。

特に用事はないけれど、しいて言うなら―――



ちらりと、空席である彼女の椅子に目をやった。
彼女が授業をサボるのはよくあることだった。


3年になって初めて同じクラスになって、まだ一度も話したことがない人。

いや、校内の誰もが彼女とまともに話したことがない。
いつも独りで固く口を結んで、表情を崩さない彼女だから。



きっと今頃・・・いつものようにあそこに座っている。

独りで、イヤホンで何か聴きながら、金色に輝く髪をなびかせて・・。



そんな姿を頭に浮かべると、俺は友人と別れて一人家路についた。

帰り道に、彼女はいる。






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