小説2

□境界線U
2ページ/22ページ




アスランはゆっくりと自分のブレザーを脱ぎ、ベッドの上へ置いた。


「アスラン?」

その動きを無垢な表情で見つめるカガリ。
そんなところに無造作に置いたりしたら皺になるのに…と思う。


アスランは、瞬きを繰り返すだけの愛らしい少女へ少しずつ近づいていった。
いつもの柔らかい笑みを、決して崩さずに。

「カガリはさ…」

「え?」

自分のネクタイを緩めながら、一歩一歩…


「前に、俺のこと好きだって言ったよな…?」


そう言ったときにはもう、カガリの目の前に立っていた。

当の本人は、会話の流れがイマイチ分からないながらも元気よく答える。


「うん、言ったぞ? アスランのことは大好きだ!」


何の迷いもなく放たれた、カガリの言葉。
純粋で嘘を知らないカガリだから、これは心からの言葉なんだろう。

―――もちろん…親友としての“大好き”

今さら、それにショックを受けたりなんてしない。
カガリへの想いに気付いてからずっと…毎日のように思い知らされていたんだ。
元々は自分が蒔いた種。




・・・でもカガリ


明日にはもう、そんな風に言えなくなってるから。





「俺も……大好きだよ」




耳元で囁いて、そっと腕の中に閉じ込めた。


―――ずっと焦がれ、求めて続けて
2度目に抱き締めたカガリの躰は・・・痺れるほどに甘かった。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ