小説2
□境界線U
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アスランはゆっくりと自分のブレザーを脱ぎ、ベッドの上へ置いた。
「アスラン?」
その動きを無垢な表情で見つめるカガリ。
そんなところに無造作に置いたりしたら皺になるのに…と思う。
アスランは、瞬きを繰り返すだけの愛らしい少女へ少しずつ近づいていった。
いつもの柔らかい笑みを、決して崩さずに。
「カガリはさ…」
「え?」
自分のネクタイを緩めながら、一歩一歩…
「前に、俺のこと好きだって言ったよな…?」
そう言ったときにはもう、カガリの目の前に立っていた。
当の本人は、会話の流れがイマイチ分からないながらも元気よく答える。
「うん、言ったぞ? アスランのことは大好きだ!」
何の迷いもなく放たれた、カガリの言葉。
純粋で嘘を知らないカガリだから、これは心からの言葉なんだろう。
―――もちろん…親友としての“大好き”
今さら、それにショックを受けたりなんてしない。
カガリへの想いに気付いてからずっと…毎日のように思い知らされていたんだ。
元々は自分が蒔いた種。
・・・でもカガリ
明日にはもう、そんな風に言えなくなってるから。
「俺も……大好きだよ」
耳元で囁いて、そっと腕の中に閉じ込めた。
―――ずっと焦がれ、求めて続けて
2度目に抱き締めたカガリの躰は・・・痺れるほどに甘かった。