小説2

□境界線U
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今までずっと“親友”を演じ続けてきたけれど、
もう限界が来た。
いや、とっくにそんなもの越えていた。

カガリの全てが欲しいという、本能の・・限界。





――――君を抱いて、深くまで感じたいというのは当たり前のことだろう?


カガリは女で




俺は男なんだから・・・







【境界線U】







「なんか、アスランの家来るの久しぶりだなっ」

「ああ…高校に入ってからは初めてだな」

アスランの部屋に入るなり、カガリは懐かしそうに周りを見渡した。
シンプルなアスランらしい部屋は、何も変わっていない。

中学の頃は、よくここで課題をしたりゲームをしたりして2人で過ごした。
でも最近はそんなことも全くなく、カガリとしてはすこし寂しく感じたりもしていたのだ。


「ほら、カガリ…上着脱いで」

「え?」

「さっき付いた生クリーム、ちゃんと取らないといけないだろ?」

「あっ、そっか。ありがとう」


アスランに促され、カガリは制服のブレザーを脱いだ。
水を含んだハンカチでもう一度染みを取ってくれるアスランの優しさに、カガリは喜びが溢れた。
アスランはいつもこうやって…自分を気に掛けてくれる…。


「良かった、綺麗に取れたよ。」

そう言ってアスランは、染みの取れたブレザーをカガリには返さず、
さりげなく入り口のハンガーにかけた。

「ありがと、アスラン!」


白いカッターシャツ姿のカガリに、アスランは血が沸きそうな錯覚を覚えた。

身体のラインがはっきりと分かって、下着の線がうっすらと浮かんでいるのも分かる。
もうそれだけで……息が熱くなる。



カガリは、久しぶりに来たアスランの部屋に興味があるのか、
ふらりと室内を散策し始めた。
といっても余計なものが置いてないので、なんとなく本棚に近づいて本を眺める。
相変わらず難しそうな本が並んでいた。


「で、今日は何するんだ? 久しぶりなんだから課題とか嫌だぞ?」

「そうだな。何しようか…」


アスランは窓際に向かってゆっくりと歩を進め、厚めのカーテンを閉めた。
とたんに光が遮られ薄暗くなるアスランの部屋。

「…? DVDでも観るのか?」

可愛らしく首を傾げるカガリに、アスランは優しい微笑みを向けた。



「…いや」



――――“俺”を見てもらうんだよ。






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