小説2
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この3年間――――
あの中学2年のときの言葉を、どれだけ後悔したかわからない。
「カガリ以上の友達はもうできない」と
カガリを“友達”と位置付けたのは・・他でもない自分自身。
まだ子供だったんだ。
人見知りが激しい俺は、それまで心を許せる友人なんていなかったから
カガリと友達になって毎日楽しくて、純粋に嬉しかった。
そして、思ったままに言った言葉が――――あれだった。
あの頃、俺とカガリはまだそんなに身長も力も変わらなかった。
カガリの性別が女だということはもちろん百も承知だったが、本当の意味でわかってなかった。
でも・・いつの間にか、カガリは小さくて細い身体になっていた。
―――気がついたのはあの時だった。
いつものように一緒に帰ろうとしたら、カガリは廊下で隣のクラスの男と話していた。
俺と違って、男女どちらからも人気のあるカガリ。
こんなことは日常で…その度にいつもムカムカする自分がいた。
『カガリの親友は俺だ』と。
カガリとその男は、話が盛り上がってきたのか手振り身振りも使ってはしゃぎ始めた。
そして・・男はカガリの金色の髪をくしゃくしゃにして・・・
そのとき、俺の身体は勝手に動いていた。
カガリの手首を掴んで、強引に引っ張って帰った。
その手が小さいことと、金の瞳を見下ろすくらい身長差ができていたことに驚いた・・。
カガリが女子と話しているときより、男子と話しているときの方が
遥かに腹が立つことにも気付いた。
気付いてからは、もう・・・想いが大きくなる一方だった――――