小説1

□Endless Kiss
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謹啓 早涼の候

この度 私たちふたりは結婚式を挙げることになりました
ぜひ皆様に 挙式の立会人となって見届けていただきたく
私たちの新しい歩みの誓いを 人前結婚式で行いたいと存じます
ぜひご出席くださいますようお願い申し上げます

敬具
C.E.77 8月吉日

アスラン・ザラ
カガリ・ユラ・アスハ


日時:C.E.77 10月29日午前10時・・・・





「一体なんなのこれは〜〜〜〜!!!」

「ご覧の通り、結婚式の招待状ですわ、キラ」


激昂した恋人を見ながら、ピンクの歌姫は微笑んだ。







【Endless Kiss -prologue-】







「私にも届いてましたよ、招待状。この度はおめでとうございます、ヤマト隊長」

キラの書斎にお茶を運んできたダコスタが、にっこり笑って声をかけた。
しかし声をかけられた方は、笑顔を作る気にもなれないようだった。


「…なんで僕におめでとうなんて言うの」

「えっ…だってアスハ代表は隊長の実のご姉弟ですから…」


なぜか不機嫌きわまりないキラの様子に、ダコスタは焦った。
現在キラはザフト軍のいわゆる“白服”で、ダコスタの正式な上官なのだ。


新婦の身内に「おめでとう」と言うダコスタは間違ってはいないのだが
キラの場合は禁句にあたることを知らなかった。



「ふふふ、実のご姉弟だからこそ受け入れられない場合もあるのですわ、ダコスタさん」

「はぁ…」

ソファーでお茶を飲むラクスの言葉によってダコスタは助けられた。

頑固親父のように不機嫌な上官と話すより、女性の方がいいと思うのはこの青年だけではないはずだ。
ダコスタはラクスの方へと向き直り、話を続けた。


「それにしても、人前結婚式って何なんですか? 教会式や神前式なら知ってますが…」

「あら、ご存知ありませんか?」

「はい…恥ずかしながらそういったことには疎くて…」

「人前式とは文字通り、人の前で結婚を誓う挙式のことですのよ」

「人の前?」

「教会式や神前式のように神に誓うのではなく、列席者の前で誓うのです」

このラクスの言葉で、ずっとそっぽを向いていたキラが少し反応した。
キラも人前式というものを知らなかったのだ。


「へー、そんな式があるんですね」

「列席者が立会人となって結婚を承認する、というのも特徴ですわ」

「では私も立会人ということになるんですか?」

「そうなりますわね」

「うわぁ、光栄です! 楽しみだなー」

そう言ってダコスタは嬉しそうに書斎をあとにした。




…ラクスと2人だけになり、キラは再び招待状を手に取ってポツリと言った。

「僕だけは絶対承認しないんだから…」





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