小説1

□巡査部長イザーク・ジュール番外編T
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まるで…スクリーンでアダルトビデオを見ているかのような錯覚。(そんな経験は無いが)



アスランがカガリを押し倒していたのだ。

ガラスの向こう側、取調べ室の机の上で。



ぬおおおおおぉぉぉーーー!!!!



俺は心の中で絶叫した。
さっきまでの眠気は一気に消え去った――――



俺様の目の前でなにをやってるんだアスラァァン!!


と叫びそうになったが、このガラスがマジックミラーだということを思い出した。
こっちからは丸見えでも、向こうからは俺が見えない。

この音声も、取調べの問答が分かるように取り付けられたマイクのせいであり
こっちの声は向こうに聞こえない。


つまり…、アスランたちは全くの密室、二人きりだと思っているのだ!!!



このままだとあいつは完遂してしまう――――!!


「あのバカ…ッ!」

俺はAV劇場な部屋から逃げるため、そして相棒を止めるため、
カタパルト射出のように部屋を飛び出した。


―――しかし、取調べ室のドアを蹴破ろうとして気づく。


さっきの時点ですでにカガリは制服をかなり乱されていた…。
(アスランはスカートの中にまで手をつっこんでいた…)

もし俺が乱入してしまえば、カガリはそんな姿を晒すことになりショックを受けるのではないか!?
カガリは何も悪くないのに…!
(全部あのケダモノが悪いのに!!)



俺は蹴破ることをとどまり、その場ですばやく携帯電話を取り出した。
なんだかものすごくデジャヴを感じるが、一応アスランに電話をかけてみる。


―――プルルル、プルルル

俺の携帯電話からコール音が流れたのと同時に、ドアの向こうからもアスランの着信音が聞こえた。
やはりあいつの上着には携帯電話が入っている!


「アスラ…っ…電話…!」

「止まらないって言っただろ…?もう挿れるよ…」



ぐおああああああああッッ!!!!


俺は全身から汗を噴き出し、全速力でその場を走り去った。

あんのやろぉぉ〜〜〜〜!!
一度ならず二度までも俺のコールを無視しやがって!!
あんな所で最後までやるつもりか!?

こうなったら最後の手段、目指すは放送室だ!!!



『アァァスラァァァンーー!!!今すぐ刑事課に来いぃ!!』



―――その日、平和なザフト署内に俺の絶叫アナウンスが響き渡った・・・
キィィンというハウリングと共に。





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