Red Line

Red Line 第3話
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自分の存在が、足元から崩れ落ちていくような感覚だった。
まだ高校生のカガリにこの事実は重かった。

父だと信じていた人が、父ではない。
14年間母と二人三脚で生きてきたけど…全てが偽りだったのではないかと、一時期何も信じられなくなったこともあった。


でも、母からの愛情を信じることにしたのだ。
父が誰であろうと、母は心からその人を愛していた。
だからこそ…自分は大切に育ててもらったのだ、と。



―――天涯孤独となった自分が、不幸だとは全く思わない。

いい家に引き取られて、大学まで出してもらえて、仕事は充実している。
とても幸せな人生だ。

そして…
胸がざわめくような出会い。


『また会いたい……』


別れ際、低く響いた彼の声に、頬が熱くなった。
小さく頷くだけで精一杯なくらいに。


「どうしよう…」


いいのかな。

好きになってしまう…かもしれない。

ううん、きっともう、惹かれてる。
今から会えるのが楽しみで仕方ないから。


…気持ちが、動き出してしまった。






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