Red Line

Red Line 第1話
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俺たちはきっと

生まれる前から出逢うことが決まっていた







【Red Line 第1話】







その呟きにはどこか切なげな響きがあった。


「彼女が……カガリ…、か」


春。
子ども達の高い声が響く、小学校の校庭。
たくさんの生徒に囲まれて元気に笑っている教師が一人…。

アスランは、フェンス越しにその蜜色の女性を見つめていた。


会社の昼休みに抜けてきただけのため、スーツ姿で首にはID、
左手にはノートパソコンや書類の詰まった鞄を持っている。


そして右手に持つのは……貰ったばかりの報告書。クリップで留められた写真―――

この写真の中でも彼女は笑っていた。




カガリ・ユラ・アスハ(旧姓・ヒビキ)についての報告


CE55.5.18 都内にて、ヒビキ家の第一子として生まれる。


 誕生時、すでに父ユーレン・ヒビキ(医師)は病により他界。

 母ヴィア(看護師)の手によって育てられる。兄弟はいない。

 小学校へ入学と同時に北海道へ引っ越す。

 仲の良い母子だと近所でも評判であり、明るく社交的な性格から大勢の友達に囲まれ幼少時代を過ごす。

 また成績優秀であった。




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