風薫る花

風薫る花 <設定・第1話>
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・・・彼女に出逢うまで


ずっと自身に問いかけていた。


俺達は・・いつまでこんな事を繰り返さねばならないのかと。






彼女が美しいのは

自然のままに生を受けた人間だからなのか



それとも、彼女だからなのか―――――







【風薫る花 第1話】







「ね、アスラン………データ、見た…よね…」

小型のシャトルに乗り込むと、キラは瞳を伏せながら遠慮がちに問いかけた。


「ああ……」

「なに…あれ、だって……あんな…」




ZAFTの《赤》として、2人でどんな任務も命じられるままに遂行してきた。

地球軍への潜入捜査。
自国プラントの穏健派の諜報活動。
ブルーコスモスの幹部暗殺。

任務の内容が入ったディスクと通信機を渡されれば、それは新たな任務の始まりだ。



―――そこまでは、いつもと同じだった。

しかし、今回与えられたデータはいつもより極端に少なかったのだ。
おそらく…ZAFT側もほとんど何も情報を得られていないらしい。

そして、それ以上に2人を戸惑わせているのは…
今回の任務が、潜入・諜報・暗殺、今までのどれにも当てはまらないからだった。


「でも…やるしかないだろう…」

「……うん…」

キラをたしなめるように、というより、自分に言い聞かせるようにアスランは言った。




・・・命じられたままにやるしかないんだ。

有刺鉄線で囲まれた檻の中。

逃れられない・・




――――ディスクは、目を通したその場で処分し
コーディネーターと悟られぬよう、カラーコンタクトで鮮やかな瞳の色を隠して…



俺達が向かう先は、地球。



コーディネーターとナチュラルが共存する国、オーブだった――――






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