恋唄
□恋唄 第9話
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笑顔が消えたカガリを見て
俺ならなんとかできると思ったわけじゃない
ただ、この腕で包み込みたいと思った
彼女の不安やつらさが少しでも和らぐように
優しく触れたい
先輩としてじゃなく
男として
【恋唄 第9話】
「カガリ……」
ドアの向こうにむかって声を投げかけた。
インターホンに対しての返事は無いが、ドアの向こうに人の気配を感じる。
…カガリがそこにいる。
「カガリ」
応えてくれることを願って、もう一度その名を呼んだ。
「……ど、うして…」
かすれた声が、わずかにドアの向こうから聞こえた。
カガリの声。
その様子から少なくとも今笑顔でないことは分かる。
「ごめん…こんなところまで来て。…でも」
連絡も無しにいきなり女の子の家に押しかけるなんて
非常識だと思ってまず謝った。
それでも放っておけなかった。
今カガリが思っていること…
カガリの心が知りたい。
「でも俺、カガリと話がしたくて…」