風薫る花

風薫る花 <第6話>
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私は王女であることを隠し
アスランはZAFTであることを隠していた…


―――私はバカだ。

こんなんじゃ歩み寄れるはずがないのに。
分かり合えるはずがないのに。



まだ胸が痛い…


こんなことになって初めて


お前への気持ちに気付くなんて。






【風薫る花 第6話】






「えっ…カガリがいない…!?」

「はい…」

ラクスが空のベッドを見つけ、全員がその事実を知ったのは朝になってからだった。

「………」

マルキオは無言で下を向いた。


「おそらく…夜のうちに出て行ってしまわれたかと…」

「だってカガリは…あんなにアスランに会いたがってたんだよ!?」

まさか、カガリがいなくなるなんて予想できるはずもなかった。
アスランに連絡を取ってみると昨日言ったばかりで…。
カガリにとっては望む結果になったはずなのだ。

「一体どこへ…カグヤのあの家…? でもなんで何も言わずに―――」

「マルキオ様は何かお心当たりはございますか?」

「………私は…」

マルキオの言葉は歯切れが悪く、キラが聞き直そうとしたとき
外の方が騒がしくなったのに気づいた。
海岸までカガリを探しに行っていた、子供たちの声だった。

「…どうしたんだろう?」


――――ドアをあけた瞬間、

キラは自らの目を疑った。



そこにいたのは…よく知っている藍色の髪の人物。



「アスラン……!!」

「キラ!?」



約半月ぶりの、親友同士の再会だった。




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