風薫る花
□風薫る花 <第5話>
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ZAFTへの裏切り行為は死。
そんなことは分かりきっている。
1年前ラクスが失踪したときとは違って、今は軍の追跡から逃れることはできない。
…これは死への行進だ。
それでも俺は――――
【風薫る花 第5話】
「君はラクスを知ってるの…!!?」
キラの切羽つまった様子に、カガリは目を見開くばかりだった。
「えっ…ラクス…? って誰??」
返ってきたカガリの返事は、キラの欲しい答えではなかった。
もしかしたらラクスは偽名を名乗っているのかもしれない、とキラは思い直す。
「その歌を唄ってた子だよ! キミ知ってるんでしょ!?」
「ああ、1年くらい前に友達になって…。お前もこの歌知ってるのか?」
1年前…ラクスが失踪した頃…!
「どんな子だった!? ピンク色の髪じゃないの!?」
「ああそうだ。サツキの髪は綺麗なピンク色だぞ」
「サツキ……?」
「出会ったときピンク色の皐が咲いててさ…私の名前も花だから、その子にサツキって名前をつけたんだ」
「君が…つけたの?」
「ああ。記憶喪失で、自分の名前を覚えてなかったんだよ」
記憶喪失――――!!
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