AceCombat

□into the Firework.
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「アンノウン接近!!」






一瞬だった。






「危ないっ!!」





P.J.の声。






赤の後の白。





爆風による振動。




コックピットいっぱいに浮かぶ機体の破片。





叫ぶ隙さえなかった。






降りかかる雪。










『…降ってきたな』











目の前の機体。




歪な鷲。









『よう、相棒』









雪。白。









P.J.はもういない。












『生きているか?』












翼。赤。










ガルム2は、もういない。











「……pixy」


















口が歪むのを感じた。






††††††††††††††


『彼』が消える半年前。
その頃から『彼』は「円卓の鬼神」と呼ばれ始めた。



ベルカ絶対防衛戦略区域B7R。


通称「円卓Round Table」


階級も所属もない


上も下もない


上座も下座もない



皆が平等になる





『生き残れ!』







それが唯一の戦闘規制だった。












「生きた心地がしないな」

『俺はお前の2番機をしている間、ずっとしなかったぜ』


一人言を呟いたつもりだったのだが、どうやら2番機は聞いていたらしい。


「どうせ俺は曲芸飛行ばかりしてるよ」

ため息。

「でも成果は出しているつもりだ」


『……俺が出してないとでも?』

「さぁ?」

笑い声が聞こえた。
2番機以外は笑っているようだ。
飛行中の私語はあまり好まれない。
いつ、どこで敵に電波を傍受されるか分からないからだ。



さらに、今から行く場所はあの『円卓』だ。あの天然ジャミング地域では敵・味方も関係なく電波が混線してしまう。



「おしゃべりを止めないと、そろそろ怒られるぞ。pixy」


『cipher!コードネームで呼ぶ……』

そこで2番機の声は切られる。

『ガルム2、いい加減黙れ。作戦区域に着くぞ』



AWACSからのお叱りに皆が笑う。

『覚えていろよ。ガルム1』

主翼を振って合図する。
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