Zillo'll
□Ja'pupe.
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「好きです」
「そうですか」
顔を紅潮させた青年の真っ直ぐで端的な告白を、サレスは即座に断った。
彼女自身は青年が告げた告白の意味に気付きもしていないのであろう。
さようなら。
と青年に別れを告げて、旧知の友人の邸へと歩いていく。
「強敵だな、お前の妹は」
「冒険者になるまで、恋愛とは関係ない生活をしていたからだよ」
妹と雰囲気の似ている彼の微笑みは、幸せそうだった。
自慢の妹だからか、サレスの兄であるロイの入れ込み方は半端ではなかった。
偶然、街の中で発見したサレスの後をこうして付いていくぐらいだ。
本人いわく、「妹が人に迷惑をかけていないか心配だから」らしいが、その心配な妹が男に声をかけられるのを見るたび、日光を手にしている。
愛する姉、シェスターのいるセラにはどことなく理解出来る領域だが、あえて今は気づかない振りをしていた。
薄水色の髪の毛を揺らす彼女は街並みを悠々と歩く。
名の通った彼女が歩くと誰もが振り返る。
隣でいる時は気付かなかったが、こうして離れると知らなかった事の多さを知る。
「貴方と歩くと視線が痛いんです」
溢すように呟いた彼女の白い肌と薄水色の髪が儚げな印象を与えていた。
「どういう意味だ?」
「セラは目立つから、街の人の視線が集中するんですよ!」
何を言うかと思えば、サレスはくだらない事で困っているようだった。