第四章

□Vol.14 京への足音
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「ん・・・・?京の平氏共が?」


それは夕食をとり終えて、少したってからの事だった。

見慣れない人が泰衡さまのところへやって来て、ぼそぼそと何かを耳打ちする。
そしてそれを聞いた泰衡さまの眉間には、みるみるうちに濃くて深〜い皺が刻み込まれて・・・・


なんだか、波乱の予感?



「将文、護衛共を皆集めろ」

「はっ!!」


泰衡さまが恐いお顔をなさったかと思いきや、一番近くにいた将文を呼び止め
護衛全員の収集を命じた。

な、なにごとなの?!


「非番の者もおりますが」

「構わん。呼び起こせ」

非番でいない人達も集めるだなんて、これはタダゴトじゃないね?!


せっかくのどかな食後を、泰衡さまや護衛仲間たちと過ごしてたっていうのにな。

ちぇ・・・・っ!

思わず唇を尖らせる。


だって、さ。
久しぶりに泰衡さまのお側につけたと思ったのに、これじゃあなぁ・・・


そうこうしている合間にも、
広間に続々と仲間たちが集まってくる。


「・・・・・・」

泰衡さまは、さっきの謎の人に何か耳打ちされてから
ずっと機嫌が悪い。

きいぃぃ!!
余計なことしてくれたよ!!
なーんて一人でプリプリしていると、隣にいた仲間の一人がそっと教えてくれた。

「あれは草っていうんだよ」って。



「クサ?」

「うん、コーンは馴染みがないだろうけど。
外出護衛勤める俺たちはよく見かけるのさ。
普段は敵地に忍び込んで情報を収集して、時々ああやって泰衡さまにご報告されに戻られるんだ」

「ふぅ・・ん?」


つまり忍者ってことかな?
忍者はこの時代、草とか烏って言われてたんだって!

なるほどねーぇ?



そうこうしている間に、
泰衡さまの膝元には、数十名の護衛達が集まってきていた
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