第四章

□Vol.13 現世の誘惑
1ページ/5ページ


「望美はどうして剣を振るうの?」

かつてコーンに言われた事を思い出した。


「私?私は・・・・」


その時の自分が何て言ったか、今では思い出せない。



箱入りむすめのススメ
Vol.13 現世の誘惑




「望美〜、帰ろ〜!」

「あ、うん。ちょっと待って」


どうして突然、あの時代のことを思い出すのだろう。
・・・もう忘れようって決めた筈なのに。



「望美?どうしたの、ボーっとして」

「え?な、何でもないよっ」


クラスメイトの子に声をかけられる。
私はハッとして、下校の準備を始めた。


ここは平成。
私はあの日からずっと、現代を生きる。


コーンを戦場で失い、
将臣くんが最大の敵である還内府であると知り、

もう一度やり直そうと時空を跳躍した先に待っていたものは、
私がいちばん望んでいた日常が広がっていた。





『こ、ここは・・・・?』


目の前にはありふれた光景。


『ここは教室・・・。私は、時空跳躍をした筈なのに・・・・』


やり直すために、始めに戻ろうとしたのに。
・・・どうやら失敗したようだ。


それならもう一度、跳躍をし直さなければ。
そう思って、胸に光る逆麟を握りしめたところで


ガラッ


扉が開いた。





『お〜い望美!何やってんだぁ?早くしないと置いてくぞ!』
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ