第四章

□Vol.12 不器用な努力
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秋。

空が高くなった頃、
この平泉の地に 弓の名手がやってきた。


「那須から参った、那須宗高と申します。
初見のみなさま、どうぞお見知りおきを」


あとから知ったんだけど、
この人が後の、かの有名な那須与一さんだったらしい

宗高は本名で、与一は後名らしいよ!

でも紛らわしいから与一さんって呼ぶことにした、うん。
だって夢小説だからね・・・


そんな名のある弓の名手に、
私たち護衛見習いは稽古をつけてもらえることになった。

やったねバッチリ好印象!をめざして、コーン がんばっちゃうぞ!!


弓の名手に、おれはなる!!!(どーん)



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Vol.12 不器用な努力




「与一殿、遠いところからわざわざ悪いな」


与一さんが到着して少ししてから、泰衡さまがやってきた。

今日は私は側近護衛じゃないから、泰衡さまが何をなさっていたのか分からない。
なんでも大事なお客さんがみえてるんだそうだけど・・・?


那須与一さんもみえて、さらに別のお客さんもみえてるだなんて
泰衡さま、多忙すぎィ!

お身体、大丈夫かな・・・?なんて、ようやく護衛らしい感情を芽生えさせていたところで


「いやなに、那須から平泉はすぐですわ。
相変わらずこの地は豊かで、素晴らしいところですな」


と、与一さんは人当たりの良さそうな笑顔をみせてきた。



「ねぇ将文・・・」

「なに?」


隣にいた将文の腕を肘でつつきながら、
ぼそっと話しかける。


「ぼそぼそ・・・あんなにひょろっこい外見なのに、あの方は本当に弓の名手なの?」

「ぼそぼそ・・・ば、ばか!ひょろっこいなんて滅多なこと言ったらだめだよ!」

「ぼそぼそ・・・えーっ」


そうなんです。
那須からやってきた弓の名手さんは、
見た目はなんだかひょろっこくて、武士らしくないんです。
・・・・・顔は中々のイケメン風だけど。見事な醤油顔!

ん〜〜そうだなぁ
私の知ってる人だと、弁慶さんとか、ヒノエくんみたいな華奢なタイプに分けられるかな・・・?

とにかく細い。
髪の毛は泰衡さまと同じ黒髪で、九郎さんみたく1本で束ねてる。
ポニーテール!

年齢も泰衡さまと同じか、少し年下そうな感じで・・・・・・


「なんか・・・年が近そうで、全然師匠っぽくないね」


私がぽつりとそう言うと、
将文がぎゃぁぁぁ!と皆には分からないように私だけに般若面になって、怒り出す。


「コーン、失言したらいけないって何度いったら・・・!!」

「分かってる、分かってるって。・・・・・あ」

「ん?」


そうこうしてる間に、
泰衡さまとの挨拶を終えた与一さんがこちらを振り向いて


そして


「おや?平泉には、おなごの護衛もいるのですか」


私と将文の方へ視線をよこしてきた


く、くるうううう!
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