第一章

□Vol.3
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今日も一日、
知盛とダラダラした生活を送るのかと思ってた。
なのに、今日は違った。



箱入りむすめのススメ
 〜尋ね人いっぱい〜



「っぎゃー!!」

寝起き一番に、大声で叫んでしまった。

だって知盛が、朝なのに起きてたんだよ!!
あの知盛が!?
鶏が鳴くのと同時に起きるなんて信じられない!
なにが起こったの?天変地異ですかね…。


そんなこと思ってたら


「もうお目覚め、か…?」


クッと笑いながら話し掛けられた。


知盛は身支度までも終えて、
何やらごそごそやってる。


「どうしたの?」

「何がだ」

「早起きするなんて珍しい」

「…クッ、たまには…いいだろう?」


どうでもいいけど、
クッて笑い方止めた方が良いと思う。

だってさー
クッ…なんて笑い方する人、今時いないよ?


「どっか行くの?」
「…しばらく、留守にする」
「えー!」


なにそれ!
奥州に来て、早三ヶ月近く経った。
(毎日ダラダラしてたんだけどさ)

奥州に来ても、どこかへ出掛ける素振りは見せなかったし、誰かに会うなんてこともしなかった。

何しにここに来たんだろう…と思って訪ねても、
クッ…知りたいか?と笑われていつも軽く流されていた。


それが今になって突然!


「やっっっと出掛ける気になったんだね!」


うれしい私うれしい!


「…ああ」

「どこ連れてってくれるの?あ、もう奥州はヤだからね」

「いや…名無し子は連れて行かない…」
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