第二章

□Vol.2
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箱入りむすめのススメ2
 〜これが最後の涙〜




「えっ、こんな凄いの着なくちゃいけないの!?」

「ええ、ととろ様は本日より頼朝様の側女になられる御方ですから…この程度は御召しにならないと」

私が困ってしまいます、と重衡さんは続けた。

側女、ね…。
それってつまり側室でしょ?
愛人ってことだよね…まあ、分かってて来たから今更驚いたりしないけどさ。

重衡さんに渡された着物は
出た!
やっぱり、お約束の十二単!だった。
簡易版だけどさ…これ重いし歩きずらいからあんまり着たくないんですよ…!



「…どうかされましたか?」

「あ、ううん。何でもないよ」

「…もしも、ととろ様が御気になされないようでしたら、お取替え致しますが」


げげっ!

私は慌てて首を振る。

そうだ忘れてた!
重衡さんってこーゆーキャラだったね…!


「いえ、すっごく気に入りました!わ、わたし嬉しいなぁ!」

「それは良かった」


にっこり微笑む重衡さん。
やっぱりこの人、知盛に似てる。

兄弟ってこんなに似るもの…?

なんてどうでも良いことを考えながら、
重衡さんに用意して貰った十二単を着ることにした。



「ぐ、ぐるじー!」

あれから女官が何人もやってきて、
何枚も何枚も着させてくれてたんだけどね…
絶対、12枚以上着込んでるって!


「重いし暑いしぐるじ〜」

白目剥き出しにしながら部屋へ戻ると
私を見た重衡さんが立ち上がった。


「よくお似合いです」

「え〜そうですか〜…?てか暑い、もう無理…!」


早くも弱音ポロリですよ!
だってもう…
頼むよ耐えられないんだ!


「ととろ様…」


心配して駆け寄る重衡さん。


「…」

「…?」

「重衡さん、私のこと呼び捨てにして良いですよ…。ていうか呼び捨てにされないとムズムズします」

「で、ですが…」


私、そんな様付けされるほど
えらい人間でもすごい人でも無い。
くすぐったくて気持ち悪いんだよね!


「分かった。重衡さんが呼び捨てにしてくれたら、私この十二単を我慢します」
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