第三章

□Vol.14
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「確かまるこ、とかいう…!」


「うわわわわっ、重盛さんが何故ここに!?」




慌てて、
知盛から盛大に離れる。


知盛に撫でられて少し乱れた髪を、違和感なく直そうと髪をいじるが、それより早く





「おっまえ、ほんとに久々じゃねーか!生きてたんだな!!」



なんて。
重盛さんにがっしり腕を掴まれてしまった。



ば、ばかヂカラ痛い痛い…っ!



強く腕を握ってくる重盛さんの大きな手に、
いささか引け目を送りつつ、


チラリと隣りにいた知盛に視線を移すと






(えっ・・・・・・?)




ものすごい眉間に皺を寄せて
重盛さんを見ていた。





こわっ!!
眼力で人を呪い殺せる人がいるって噂ありますよね?その一人なんじゃないかな、知盛さんは…(まぁもう一人、弁慶という名の腹黒さんがいらっしゃいますが、ね・・)




今度は、
知盛に若干の引け目を感じつつ
話題を重盛さんに振った。



「重盛さんはどうしてここに来たんですか?」


「いや、俺は知盛を探しに来た訳だが…しっかしなぁ〜」




質問をふっかけた私を
ニヤニヤと見つめ出す重盛さん。

な、なにニヤニヤ笑ってるんだこの野郎…!
表情のセクハラは止めてくれよな?





「な、なんですか?」


あんまりにもニマニマ見られるんで、
流石にイヤになってそう聞くと
また更に、
当社比3倍くらいになったニヤニヤ笑みを、私に向けてきやがりました。


っっっっっ!
ニヤニヤ反対!
だめ、絶対…!





「お前ら、出来てたんだな〜」




ニヤニヤニヤ…



「なっ!?」


「だってそうだろ?今だって俺が入ってこなきゃ、ナニやってたんだか」


「ナニもしませんよ!!ばかっ!」




ポカスカジャン、と重盛さんの肩を叩くと(え?ポカスカジャンなんて効果音はナンセンス、だって?)


ずっと黙っていた知盛が
口を開いた。







「…兄上、」


「なんだよ知盛。ようやく喋ったか」


「……」



…心なしか、空気がピリピリしてる(ような気がする)。


さっきまでの柔らかい知盛は居なくなって、
代わりにいつもの冷たくてだるそうな知盛が帰ってきた。





「…出ていって貰いましょうか」


「あん?」


「出て行け、と…。言ったのが聞こえませんでしたかな…」



うわっ!
あろうことか、
知盛は実の兄に向かって「おまえ帰れ」コールをしてしまいましたよう!ぎゃぎゃん…!
これが属にいう、
リコールってやつですかね…?え、ちがうって・・?





「…ははっ、そういう事か!分かった、分かったよ」


暫くして
重盛さんが突然、
笑い出した。




「え、なに…?」


訳のわからない私はポカン顔。
隣りにいる知盛は
相変わらず訳わからんまま、リコール顔。
(帰れ帰れ、とか平気でいっちゃう顔のことですよ!)





「…あの、えっと……?」

いまいち展開の読めない私をヨソに、
重盛さんは笑った。
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