第三章

□Vol.5
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「こ、ここは一体…?!」

思わず口を開けっ放しで
魅入ってしまった。

だ、だって!
連れて来られた場所は、何ていうかその…でっかいお屋敷みたいな所でさ!絶対貴族が住んでるよコレ…!

慌てておキクさんを見上げると
ふふっと笑われて

「ここは六波羅だよ」

と返事を返された。
ロクハラ…?


「今日はあるお方の元服の日でね、私達はその手伝いに来たんだよ」

「元服……」


そうなんだ…
こんなお屋敷に住んでる人の元服だもん、そりゃあ余所者でもいいから手伝いが欲しいよね…


颯爽と前を歩くおキクの後を追う。
雅楽が流れて、明かりも灯され、まるでお祭りのような空間。


そして辿り着いた場所は…


「な、なんじゃこりゃ!」


広間のほとんどが貴族で埋まっていて、
ものすごく奥の方に、小さく人が座ってるのが見える。
ああ、あれが本日のメインディッシュならぬ主役ってやつですか?


「もっと近くで見なくちゃ…」

こそこそと前の列に紛れ込む。
みんな、ホホホとかフフフとかなにやら雅な笑い方をして楽しそうでおじゃる!私なんか、ガハハ!だぜ…?


「あっあの人!」

ようやく見えてきた、前列に座る人物の顔。
その中に、私のよく知る人がいた。


「清盛さんだ…」



『娘、怪我はないか?』

『よいよい、家まで送ってやるから案内せい』


ちょっと前、
私に親切にしてくれた男の人。


「げっ重盛さんも居るよ…!」

いつもはふざけてばっかりなのに
こんな時だけ真面目に礼服着て座ってる。
なんだ、ちゃんとしてればなかなか格好良くみえるのじゃまいか…

その隣りには、綺麗な女の人と女の子、それからおじさんっぽい人、栗色のパーマかかった髪と紫髪の可愛いちびっこ(女の子かな?)がちょこんと座っていた。
きっとあれも
平家の重臣の人なんだ。

と、そのとき。
近くに居たどっかのおエライさんが立ち上がり、言った。
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