第三章
□Vol.5
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「ほら九郎さん、あーん!」
「ま、またお前は…っ」
「どうして避けるんですか?そこで避けたら意味無いですよ」
「だ、だから俺は…!」
箱入りむすめのススメ3
〜いつかどこかで?〜
この世界にきて
早二ヶ月が過ぎようとしていた。
相変わらず雑用をこなしながら
九郎さんの女嫌いを克服させるための訓練?をしているんだけど…
「九郎さんこのままだと一生童貞ですよ…」
げんなりして言うと
九郎さんはフンッと鼻で笑った。
「別に良い」
「?!」
べべべつに良いって…!そんなの私がよくないよ!せっかく顔は良いんだからさぁ…性格は…うん、まぁ別として…
「私、弁慶さんにおジェニー(お銭)貰っちゃってるんですから!九郎さんの女嫌い直さないと私の首チョン切られちゃうかもしれないんですよ?!」
首ねっこ掴んでガクガク揺さぶる。
九郎さんは、く、苦しい!とか何とかわめきながら言った。
「俺には関係ない!」
「関係ある!」
「ない!」
「ある!」
むむ〜
お互い睨み合いながら、しばし時間が過ぎる。
九郎さんって頑固な上に強情だよね…!
よ〜し、こうなったら……
またやっちゃうぞ★
題して、ベタな乙女アピールその2・必殺上目使い!
ぱちっぱちぱちぱち!
ふふふ、上目使いで落ちない男はいないってね…!さあ、これでどうだ九郎殿…!!
思いっきり下からパチクリとわざとらしく見上げてみました。
これはきっと、九郎さんからは私という女がとんでもなく可愛く見えてる筈。
上目遣いマジック★これであなたも可愛さ5割増し!(当社比)ってね〜
ところがどっこい。
九郎さんは
またしてもやってくれました。
「…俺にケンカを売っているのか?」
「は?」
「そんなにガンを飛ばされては、俺とて黙っていられぬぞ」
「ちょ、ちょっと…?」
ああああありえない!
あろう事か、九郎さんはいきなり刀を抜き出してブンブン振り回し始めましたよ…!?な、なんで?
思うに、
上目遣いと不良の目つきを間違えたんだと思う(私が)
きっと九郎さんからは、
あ?万冊持ってきたんだるぉなぁ!?っていう、借金の取立てオヤジみたいに見えてたに違いないよ…
私、また選択ミスしたみたい。
わ〜お★
「ってそんな事言ってる場合じゃない!」
慌てて駆け出した。
本物の刀で斬られたらシャレになんないよ!
「九郎さんのばかっ」
「な、なんだと?!」
「次こそ落としてみせるんだから、足洗って待ってて下さいっ」
「意味が分からない!」
そしてその後
すたこらさっさと逃げてきました。