第三章

□Vol.1
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カンカンカンカンカン!!


「!?」

ガバッ!
勢いよく布団から飛び起きる。
朝っぱらから、
なんだかすさまじい音が鳴り響いてる…!


「な、なにごと?」


慌てて布団から這い出て
廊下へ行くと
見るからにヨボヨボおばあちゃんが、おタマでお鍋をガンガン叩きながら歩いていた。


「お、おばあちゃん…!」

「ん、何だい娘。新入りかい?」


私に気付くと
ずんずんと近寄ってきた。


「ほーお。新入り…にしては、随分貧粗な体しとるのォ」

「あ、いや…。私、ただの雑用係なんで…」


謎のおばあちゃんの出現に
あたふたしていたら


「その娘は私の弟子だよ。いじめてくれるなよばーさん」

「あ、おキクさん!」


おキクさんが現れた。
うわー朝から色気がムンムンだよおキクさん!
おっぱいはみ出そうだよ!


「おはようございます!」


と、元気に挨拶。
とりあえず、朝は挨拶からですよ…


「ああお早う。ところでまるこ、早速なんだが」

「はい?」

「これがアンタの仕事だからね。手を抜いたら承知しないよ」

「はいっ!って…えぇぇぇええ!?」


渡された紙を見て
思わずビックリ仰天ですよ!
だっ、だってさ…



『朝 起床してすぐに顔を洗い、そのまま水を汲んで朝食作りを始める
朝食が終わったら後片付け。
合間に洗濯をすること

昼 一室一室丁寧に掃除をする。
窓拭きは二日に一回。布団は毎日干すこと

合間に針仕事。
昼食の準備。
娘たちの着物がほつれたら、すぐに纏ってやること

夜 旦那らが来て仕事が入るため、
部屋で大人しくしてること
夜食は作らなくて良い。
早めに寝て明日に備えること。
風呂は最後に入ること』



ってギッッッッシリみっちり書いてあるんですもの…!
なに、風呂は最後に入れって…!?
早めに寝ろって言っておきながら
風呂は最後ですかぁぁああ?
そこんどこ、おかしくないですかぁぁあ?


渡された紙を持って
プルプル震える。


「何か意見はあるかい?」

「ありません」


でもちゃんと異議なしってことにしときましたよ!
この世界は弱肉強食だからね…


「そうか、優秀だな。じゃあ後は頼んだ」

「は、はい。任せてくだしゃりませ!」


ハッ!
お、思わず噛んでしまった…!


「ぷっ」


隣りで聞いてたおばあちゃんが笑う。


「"任せてくだしゃりませ"だって?アンタ頭大丈夫かい?」

「むっ!」

「まあ、せいぜいヘマしておキクさんに首切られないように頑張んなァ。ひっひっひ」


笑いながら
私の前を通り過ぎてくおばあちゃん。

くっそ!
今に見ておれ今に見ておれ!
私だってやれば出来るんですからね!



…というわけで。
超壮絶・ハードスケジュールな1日が始まった―…
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