第四章
□Vol.14 京への足音
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「これで全員か、爺」
いつの間にやら、泰衡さまの隣には古参家来の爺(与五郎さんっていうらしい)(※将文調べ)と呼ばれる人が立っていて、
「ひぃ、ふぅ、みぃ・・」と、私たち護衛の人数を数えだした。
「はい、全員揃っておりますよ」
お爺さんがそう言うと、泰衡さまは「うむ」とだけ言ってスッと静かに立ち上がった。
これから何が起きるのだろう?
ヘンに心臓がドキドキとして、落ち着かない。
周りにいるみんなも同じ気持ちのようで、
広間はイヤ〜な空気が漂っていた。
そんな中、泰衡さまが口を開いた。
「皆に集まってもらったのは他でもない、平家からの襲撃に応戦してほしい為だ」
「「!!!??」」
え――・・・・?!
いま、なんて!?
そこにいた皆が皆、固まった。
平家の襲撃に応戦しろ、だって・・・・?
それじゃあ、平家がこの平泉を攻めてくるって言うの・・・・?何故・・!?
思考回路が停止する。
泰衡さまのいい放った言葉の意味がわからず、皆唖然としていると
「案ずるな。すぐに攻めいってくるのではない」
と、泰衡さまが続けた。
「・・・・なんだ、よかった・・」
「びっくりしたぁ・・・・」
皆、口々に安堵のため息が漏れる。
私だって例外じゃない。
だって、平家って・・・
しかも、戦うって・・・・・・
「そのような怪しい動きがある、とだけ私の耳に入ってきたのだ。
お前たちには一層気を引き締めて貰いたいと思ってな」
だからこうして集まって貰った、そう続ける泰衡さま。
「・・・・ほっ」
とりあえず、すぐではないと分かってホッとする。
目の前に並ぶ将文も、同じように肩の力を抜いたのが見てとれた。
しかし
「この中から、京の様子を探ってくる任務を何名かに任せたいのだが。
やりたい者、推薦したい者はいるか?」
え?!
泰衡さまが、謎の発言をしたのだった
京の様子を探るって・・・・
京を偵察してこいってことだよね?!
ぜぜぜぜったい、いやだ!