第四章

□番外編 一筋の希望
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箱入りむすめのススメ
番外編 一筋の希望




「っうう、母上ぇ父上・・・っ兄上ぇぇっ!!」



焼け野原で
一人の少年が泣いていた。


人一人、
いや村一つないその地で、
少年はただ一人、泣き喚き続けた。




「父上ええ!母上ぇえ!!」



少年が泣きながら叩くそれは
戦で失った父と母の亡骸。

隣りには兄のそれが転がっていた。




「どうしてっどうしておれだけ…!何故なのですかっ…!!?」



自分ただ一人生き残り
少年はどうすることも出来ず、ただ一人で泣いていた。


少年は雨が降ろうと夜が来ようと、
三日三晩泣き続けた。






パカ、パカ、パカ・・


馬の蹄の音がする。





「…おい」


「…っぅ、く…っ」


「おい、大丈夫か?」



焼け野原に
馬一頭でやって来た青年は
一人泣く少年を見つけるや否や

すぐさま馬から飛び降り、少年の元へと駆けていった。




「どうしたっ!?」


少年の様子が尋常ではなかったので
蒼い髪の青年は
がしっと、強く少年の肩を掴み
振り向かせた。



「ち、父上が…。ち、母上がっ…!!」

「っ!!!」


振り返った少年の姿は驚くほど痩せ細り、
代わりに向こう側見えたのは
変わり果てた少年の両親だった。


青年は思わず口を閉ざす。
何も言えなかった。




「・・・おれっ・・」


ただ黙って、
少年の体を強く抱きしめることしか出来なかった。





「喋るな!喋らなくていい…っ。喋らなくていいから、俺について来い!」

「・・・・うぅっ・・!」




反抗する元気もない少年は
青年にされるがまま、
馬へとその身を預けて乗った。
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