第三章
□Vol.14
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気付いて。
みんな、気付いて…。
私の声が…聞こえる?
あなた達 八葉は、
神子を守るために生まれてきたんだよ
早く気付いて…
…お願い…
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「…九郎、今何か言いましたか?」
「いや。俺は何も言ってないぞ」
「そうですか…僕の気のせいかな。……手の甲が熱い…」
「ねえ朔〜。今俺を呼ばなかった〜!?」
「いえ、兄上なんて呼んでません」
「な、なんかって…ひどいな〜!」
「っ兄さん!独り言呟くのは止めてくれって、何度言えば分かるんだよっ」
「はあ?俺いま何も言ってないぜ」
「えっ」
「譲は勉強のしすぎなんだ。早く寝ろ!」
「どうしたヒノエ。急に飛び起きたりして」
「父さん…いま、何か聞こえなかった?」
「いや…何も聞こえなかったが」
「……そう。なんでだろう…、額が痛いんだ」
「……再び合間見えるか、神子…」
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「あれ・・・?」
「どうした敦盛。思い出し笑いか?」
急に、顔を上げた敦盛に
重盛が不思議そうな顔をして問掛ける。
「お、思い出し笑いって…重盛殿ではあるまいし…」
「はははっ!まあ気にすんなよっ。で?どうしたんだよ、急に」
「…誰かに、呼ばれた気がしました…」
箱入りむすめのススメ3
〜霧がかった春模様〜