第三章

□Vol.nothing
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どうして…

神子……どうして?



「声が…聞こえない」


神子、私の声は聞こえてる?

もうずっと、
長い間、私はあなたに呼び掛けている。
それなのに、
神子は私の声を聞こうとしなくなってしまった。




「神子……」


このままでは危ない。
神子を守る八葉の気も揺らいでいる。

それこそが、まさに…


「凶…」



時空の狭間は音もなく、色もない。
ただ殺伐とした景色のなか、
静かに肩膝をついて祈る。


「もう一度、八葉と神子の絆が戻らん事を…」




そう。
八葉は元来、神子に惹かれて神子を愛すもの。

だから、もう一度
その絆を深めれば、きっと神子にも私の声が届くはず。

そうしたら
また神子は戻ってきてくれる筈だから。
京の都を、救ってくれる筈だから。



だから神子、


帰ってきて―――。




箱入りむすめのススメ3
 〜望美編 覚醒の足音〜

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