第三章
□Vol.nothing
1ページ/4ページ
どうして…
神子……どうして?
「声が…聞こえない」
神子、私の声は聞こえてる?
もうずっと、
長い間、私はあなたに呼び掛けている。
それなのに、
神子は私の声を聞こうとしなくなってしまった。
「神子……」
このままでは危ない。
神子を守る八葉の気も揺らいでいる。
それこそが、まさに…
「凶…」
時空の狭間は音もなく、色もない。
ただ殺伐とした景色のなか、
静かに肩膝をついて祈る。
「もう一度、八葉と神子の絆が戻らん事を…」
そう。
八葉は元来、神子に惹かれて神子を愛すもの。
だから、もう一度
その絆を深めれば、きっと神子にも私の声が届くはず。
そうしたら
また神子は戻ってきてくれる筈だから。
京の都を、救ってくれる筈だから。
だから神子、
帰ってきて―――。
箱入りむすめのススメ3
〜望美編 覚醒の足音〜