第三章

□Vol.2
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カンカンカンカン!!

がばっと布団から飛び起きる。

毎朝恒例・激しい目覚まし。
その激しさといったら容赦ない。


「…まだ眠い〜〜」

「こらっ、シャキッと起きんかい!」



箱入りむすめのススメ3
 〜買出し、いきました〜



「くっ…毎朝あんな調子で起こされたら、たまったモンじゃない!」


ごしごしごしごし。
はい、おはようございます。
まるこです。
皆さん起きてますか?
私はもっと寝てたいけど、あのババ…じゃなかった、おばあさんに起こされてしまったせいで、
こんな朝っぱらからタワシで野菜を洗ってる次第です。

私、居候の分際だからさ…
きっちり働かないとね……



「コラッ手がお留守だよ!」

「は、はい!!」

ぎゃふん。
モタモタしてるとすぐこれだから、気が抜けません。


あっ、そうだ。
もう一度、説明しておきますね!


目が覚めたら、
私はなぜかここ「女郎屋」に居た

女郎屋の女主人・おキクさん(源氏名かな…?)曰く
私は雨の日に道端でぶっ倒れてたんだとか…

「え、じゃあ私は何者なんですか?」
って聞いたら
「知らない。でも名前はまるこでいいんじゃね?」みたいな事を言われてしまって、
結果、私の名前はまるこになった訳であります!
な、なんて安易な…っ!


そして記憶が戻るまで
私はこの女郎屋で雑用係りとして、居候することになったのです。

えーと
今の時代とか年号は分からないけど
最近は『平家』っていう人達が大ブレーク中らしいです。
アイドルか何かかな…?
『平家以外の人間は人間じゃないんだぜ!』なんて豪語する人もいるようです。
ええっそれじゃ私人間の部類に入れないんだけど…?!っていうツッコミはスルーして…





「グズグズしてないで、とっとと朝飯作るんだよ!」


目の前にいるおばあさんに叱咤される。

彼女はここの古株らしく、おキクさんが主になるより前からお勤めしているんだとか。

そんなこんなで、この人は唯一おキクさんに意見を言える人物。
それでもって、
……何かにつけて私を目の難きにしてくる人物でもあるんだな、これが。


た、確かに私は要領も悪いしガサツで
あんまり使えない奴かもしれないんですけど、
何かにつけていちいち口を挟んで注意してくるってンだから腹が立ちますよね…!!

姑か……!!



「はいはい、今から作りますよ…っとととと!?」

「!?」

がっしゃーん!!

「……」

「…まるこ〜〜お前って奴は〜〜〜」

「ご、ごごごめんなさい」

「年寄りを殺す気かい!女はもっとおしとやかであるべきだよ!なんだってそんなヘンピな所で突っかかるんだい!!」

「も、申し訳っ…!」


野菜を洗い終わって立ち上がろうとしたら、
思いっきり躓いて
おばあさんの上へブッ倒れました。



ひ、ひぇぇええぇぇ!
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